604 :加害者は誰か・1:2008/12/15(月) 15:20:12 ID:b2vYchxo0

どうも自分の家系は、父母共にえらい因縁やら怨念を引き継いできたそうだ。 
以下、寺の住職が自分や、あるいは親に話したもの。 

まず母方の家系には、稲荷信仰をやってた先祖が憑いていると言う。 
ただ、少し長くなるが、それは悪い狐が憑いたとか、そういう話ではないらしい。 
「そもそも理解している人間が少ないが」と前置きされたのは、
「『神』は万能でも無ければ、無限に力を持っている存在ではないんだ」という事だった。 


お稲荷様に限らず、誰かがお祈りやお願いに訪れると、 
神はその願いをなるべく叶えてやろうと考え、参拝者に力を貸してやる。 
ところが、ここで『借りた力を返しに来ない者』が必ずいる。 
願いが叶った、努力が実ったと、お稲荷様等の神様にお願いした事を忘れる。

その話を聞いて、「その無礼な態度に怒って害を為すのか」と聞くと、そうでも無い。 
この段階では、稲荷神は別に何をするでもなく、順番に力を貸してやるのだが、 
そのうち、本人(本神?)の力が足りなくなってきてしまう。 
こうなるともう、新しい願いを無視するか、先に力を貸した人から、無理に返してもらうしかない。 
つまるところ、『借金の取立て』。今風に言えば『不良債権整理』だ。 

稲荷信仰にどっぷり使っていたその先祖(商人)も、最初は上手くいっていたが、
そのうち『取り立てられる』側に回り、何もかもがうまく行かなくなって、身代を潰したと言う話だった。 
まずそいつの借金と、感じている悔しさ、辛さが圧し掛かっていると言う。 


605 :加害者は誰か・2:2008/12/15(月) 15:22:52 ID:b2vYchxo0
今度は父方の家系。こっちはもっと深刻だ。 
戦国時代だか何時代だかは解らないものの、
私の先祖は位の高い武将……ではなく、そいつを討ち取ったようだ。
ただし、それは戦場での事。 

もちろん褒美も出ただろうし、功を挙げて名も立っただろう。 
だが、討たれた武将の家はそれで完全に傾き、一族郎党が路頭に迷い、
最終的にどうにもならず、全員死んでしまった。
これにまず恨まれている。 

ところが当の先祖自身すらも、その事によって出世したは良いが、 
彼自身か、その子孫なのかは良く解らないが、
父方の先祖もまた、高い地位を与えられた事による責任から、心労でダメになって家を潰した。 
「毎日生きた心地がしなかった上、今でも辛い。助けてくれ」と泣きついてきていると言う。 
辛い辛いだけで、子孫に八つ当たりしているのだ。

まだある。
他には、詳細は覚えていないが、
その先祖は正義感が強く、周囲の窮状を見て奮起し、世の為人の為に頑張っていたそうだが、 
理想に実力が伴うかどうかは別の問題で、途中からどうにもならなくなっていった。
(先の討ち取られた武将一族の恨みとかが原因かも、等とも) 

周囲の人間に失望されると自棄になり、
「俺はこんな頑張ってるのに何でだ。あんなに頼ってちやほやしたくせに、何で掌を返すように冷たくなるんだ」
と嘆いた挙句、自殺。 
そいつがまた「お前らも俺と一緒になっちまえ」と、自分の子孫を呪っている。 


606 :加害者は誰か・3:2008/12/15(月) 15:24:38 ID:b2vYchxo0
他にも殺された赤子やら(母方のお婆ちゃん曰く)、淫乱性悪女やら、あんまりな内容で、
それももう覚えきれないほどゴロゴロ出てくる。
流石に、幾らなんでも理不尽すぎると腹が立った。 
とにかく、内容に八つ当たりや逆恨み、自分が原因であるパターンが非常に多い。 
戦場で討ち取られて恨むなんて、侍のくせに潔くないと反発を感じたり、 
自分が自殺したからって何で子孫を同じめにあわそうとするんだ、と。 

そんな自分の言葉に答えて住職は、
「そもそも怨念や因縁が、理論的なものな訳無いじゃないですか。 
殆どの場合、それは逆恨みや難癖で、相手に非があろうが無かろうが、 
相手はそんな事に関係無く、一方的に暗い感情を溜め込むものだし、
対象を不幸にしたって、それで気が晴れたりなんかはしない。 
数人で恨みを晴らして成仏するようなら、まだ良心的ですよ」と言う。 
まさしく『末代まで呪ってやる』の世界そのもの。 

更に都合が悪いのは、親戚を見回しても、自分と同世代が一人も居ない事。 
妹が一人居るが、男性は自分一人。 
何人かは結婚しているが、子供は一人も居ない。本人達が望んでいる場合でさえも。 
結局、父方と母方で別々に受け継がれてきた怨念(?)的なものは、 
最終的には、全部自分か妹へ、特に自分に来る可能性が高いと言われた。 

まぁ、それだけなら迷信乙と言って済ます事も出来たのだが、
じゃあ、実際のところ何があったか、という話で、 
普通大した事件は無かったり、偶然の事件が殆どかとも思うけど… 


607 :加害者は誰か・4:2008/12/15(月) 15:26:51 ID:b2vYchxo0
母の家系は、父の家に比べるとかなりマシ(それでも少しアレだが)で、問題は父の家。 
まず父方の家は、それはもう酷い家で、
父の母(自分にとってのお婆ちゃん)は、ある日突然父と父の兄を並んで座らせると、急に改まって、 
「私は明日から狂いますから、明日からは二人の力で生きていきなさい」
と宣言し、そして実際におかしくなってしまった。 

祖母は美人ながら、元々欝の気があったそうだが、もう完全にダメ。家事一つできなくなった。 
自分がもの心付いた頃には、祖母(50代半ば)はもう完全にボケていた。 
祖父もアル中で、祖母同様、もの心付いた頃にはボケていた。 
(昨年、脳の半分が壊死して植物状態になり、一年ほどして死んだ) 

両親同様、親戚(後に夜逃げ→消息不明)もロクデナシばかりだった為、
母が言うには、父は口癖のように「あんな人間(両親や親戚の事)にだけはなりたくない」とボヤいていた。 
ところがその父自身、事故現場に直面しても、救急車を呼ぶ事すらしない人間。

それでもまぁその頃はまだ優しい所もあったらしく、両親は結婚。工芸関係の仕事を始めた。 
自分が生まれ妹が生まれ、ちょっと小学校で苛められもしたが、まぁまぁ何とか暮らし、 
何度かの引越しの後、家を建てようという事になり、家を建てた。 

ところが、その家が傾いていた。土台の沈下で、現在進行形で酷くなってる。 
更に、家を建てた建築会社がこちらを訴えてきた。 
で、父はその後ショックで酒量が増え…色々省略。 
重要なのは、きっかけそのものは、父に原因は無かったという事。 


608 :加害者は誰か・5(終了:2008/12/15(月) 15:31:00 ID:b2vYchxo0
結局父は、その『なりたくない人間』そのものになった。 
全部話してると長くなるので詳細はカットするけど、
人間としてのクズ要素を一通り備えていると想像してくれれば、現在の父の人物像はだいたい合ってる。 

母は数年間、豹変した父に付き合いつつも一人で家庭を支えていが、流石に離婚した。 
(元々離婚しろと喚いていたのは父だったのだが、保留していた) 
住宅裁判で支払われた賠償金は全額借金の返済に充てる、という条件で父が受け取ったが、 
株に使い込んで全部消えた為、自己破産を申請した。 
(…と本人は言っているが、もう喋る内容が全て嘘か本当なのか分からない)

母方の親戚には連帯保証人を頼んでいた為、当然、母は親戚関係と絶縁状態に。
それでも、さあこれから新しい人生を、という時になってガン。
手術は成功したが、転移率が中々高いそうで、人生終了です本当に有難う御座いました。 
自分は父とも連絡をとれる状態だが、連絡はとっていない。 

…何が怖いかと言えば、自分が上の話を聞いていたのは前々からだけど、 
だからそ逆に、そんな怨念に負けるか、気をつけて生きるんだ、と思っていた。 
だが、父が「あんな人間にだけはなりたくない」とボヤいていた話は、つい最近知ったんだ。 

そして自分もまた、「父のような人間にだけはなりたくない」と普段からボヤいていた。 
若い頃の父の言葉をこの前母から聞いて、目の前が真っ暗になった。 
何時か、何時か自分も、あのような人間になってしまうのではないかと。 

という訳で俺は今、その傾いた家に一人で住んでいます。