引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1306857595/


 
905: 本当にあった怖い名無し:2011/06/05(日) 23:48:31.22 ID:da2rBiWM0
老婆
高校に入学したてのちょうど今頃の時期 
野球部の朝練で5時には家を出なければいけなかった。 

家を出てちょっと歩くと女の子が顔をうずめて座ってる。 
お下げ髪でピンクのワンピースに赤い靴 
見た感じ7,8歳くらいかな? 

こんな時間にどうしたんだろうとは思ったけど 
急いでたし、スルーしようと思ったら泣き声が聞こえた。 
なんかちょっと変な声 

これをスルーしては高校球児の名がすたる。 
どうしたの?と声をかけると女の子が顔を上げた。 
いや、女の子ではなかった。70過ぎくらいのおばあちゃん。 

身長が100センチ?くらいしかない小さな老婆。 
小人症なのかな?多分。ガリガリに痩せてて骨が痛い感じ。 
髪が異様に黒くツヤツヤしてる。 


906: 本当にあった怖い名無し:2011/06/05(日) 23:49:34.76 ID:da2rBiWM0
うおって声出して驚いた。まぁ誰だって驚くでしょ? 
もうテンパってその場を去ろうとするとその老婆が 
「私いくつに見える?」って聞いてきた。 

いくつも何もおばあちゃんやんけ。俺が答えられずにいると 
「私、呪いをかけられて今はこんな姿だけど、 
 本当は12歳なの。王子様がキスしてくれると 
 呪いが解けるの。王子様・・・KISSして。」 

まぁこんな人がいることは知識としては知ってたけど 
目の当たりにすると心底驚くね。 
ごめんなさいと言ってその場を離れて、しばらくして 
後ろを振り向くと、老婆が追いかけてくる。 

妙な歩き方なんだよ。早歩きだったのかもしれないけど。 
下手なスキップみたいにな感じ。ピョコピョコって。 
「おうじさま~」って。めちゃくちゃホラーだよ。 


907: 本当にあった怖い名無し:2011/06/05(日) 23:50:53.25 ID:da2rBiWM0
も~駅まで猛ダッシュ。学校についてからもそのことが頭から 
離れなかったし、帰りにまたあったらどうしようって考えて帰りは 
別の道を通った。お~、無事帰宅できた。と思ったら・・・いたよ。 

家の前にいるよ。あの老婆が。もう夜8時過ぎだよ? 
俺が近づくと「王子様・・・キスしてください。」ときたよ。 
ちょっとホントになんなんだよこの人。 

急いで家に入って鍵を閉める。あんた何もされなかった? 
と母が玄関に来て聞いてくる。どうやら夕方ぐらいからずっと 
家の前にいるらしい。マジっすか。 

朝の出来事を母に話すと、お父さんに相談しましょうとのこと。 
父が帰ってきて老婆のことを話すが、 
何にもされてないんだろ?じゃあ、ほっとけよ。 


908: 本当にあった怖い名無し:2011/06/05(日) 23:53:46.60 ID:da2rBiWM0
翌朝。四時半起床。高校球児の朝は早い。 
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。 
今日も元気にがんばるぞ~・・・老婆がいるよ・・・。 

朝五時。家の前。老婆。昨日と同じ格好。スペアがあるのか? 
「王子様。お願いです。キスしてください。」 
やっぱり同じようなセリフ。カンベンしてください。 

また駅まで猛ダッシュ。でもどうしよう。これいつまで続くんだろ? 
警察に言おうか?でも何にもされてないし・・・ 
老婆にキスしてくれと付きまとわれる。う~ん、決定打にかけるな。 

男女が逆ならどうだろう。 
70過ぎの老人が小学生の格好で女子高生にキスしてと付きまとう。 
あれ?逮捕だろこのジジィ。許せねぇよ。 


910: 本当にあった怖い名無し:2011/06/05(日) 23:55:08.44 ID:da2rBiWM0
でも僕は男なわけで・・・高校球児なわけで・・・ 
で、まぁまた帰宅するわけで・・・家の前に老婆がいるわけで・・・ 
同じセリフを言われるわけで・・・家に急いで入るわけで・・・ 

さぁ本当にどうしよう。母に相談。 
明日の朝にもしいたら警察に相談しようということになった。 

翌朝!四時半起床!高校球児の朝は早い! 
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。の前に窓から 
家の前を見てみた。というか、まぁ起きてすぐ見たんだけど。 

朝四時半!家の前!老婆!また同じ格好!スペアg(ry 
母はまだ寝てたけど老婆がいることを伝えて出発。 
玄関から猛ダッシュで老婆をスルー。 


912: 老婆:2011/06/05(日) 23:56:41.30 ID:da2rBiWM0
また8時頃帰宅するとやっぱりいる。ちょっと話してみる。 
本当に迷惑なんです。もうやめてください。 
「お願いですからキスしてください。」・・・会話にならん。 

母が警察に相談したらしいが、時は90年代。 
ストーカーという言葉がまだ一般的ではない時代。 
実害がない以上警察としてはどうすることもできないらしい。 

たしかに実害はないので俺も母もほっとくことにした。 
無視してればいつかいなくなるだろうし、なにかしてきても 
高校球児の俺が70過ぎの小人症の老婆に負けるわけがない。 

まぁ本当のこと言うと俺はかなりビビってたし 
ガチの喧嘩になっても全く勝てる気がしなかった。 
いやだってさ、もはや妖怪の域だよ。勝てるかよ。 


913: 老婆:2011/06/05(日) 23:57:48.55 ID:da2rBiWM0
それから1週間ほど毎日同じ時間に老婆はうちの前にきて 
同じセリフを俺に言う。「王子様。キスしてください。」 
近所でもかなり話題になっていた。 

ある日の帰宅時。やっぱり老婆はいる。 
いつもどおり無視して家に入ろうとすると「話を聞いてください。」 
いつもと少し違う。立ち止まって話を聞いてみることにする。 

「私、呪いをかけられて今はこんなs(ry」いやそれは初めに聞いたよ。 
「今日キスしてもらえないと、私、明日死ぬんです。」??? 
「王子様。お願いです。私にキスしてください。」えええええ!!! 

マンガとかアニメなら 
「ファーストキスをこんなお婆さんに捧げることになるなんて。とほほ。」 
とか言ってキスしちゃうんだろうけど。いやアニメ見ないからしらんけど。 
というか俺ファーストキスすでに経験してたけど。 


914: 老婆:2011/06/05(日) 23:59:15.81 ID:da2rBiWM0
現実はそうはいかない。まぁ当たり前だけどさ。 
ていうかキスしたが最期、王子様からダーリンに昇格する可能盛大だし。 
朝五時。「ダーリン、おはようだっちゃ。」 
夜八時。「ダーリン、おかえりだっちゃ。」 
もうどうにもなんねぇ。もうどうにもなんねぇよ。 

こうやってふざけて書いてるけど当時は本当に参ってて 
その時感情が爆発した。 

いいかげんにしろよクソババァ。 
てめぇのせいでこっちは頭がおかしくなりそうなんだよ。 
勝手に死ねよ。っていうか死んでくれよ。もう俺の前に現れないでくれ。 
こんな感じのことを言ったと思う。 

「そう。死ねって言うの。わかった。」 
そう言って老婆は妙な歩き方で帰っていった。 


917: 老婆:2011/06/06(月) 00:00:32.84 ID:da2rBiWM0
翌朝。四時半起床。高校球児の朝は早い。 
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。 
老婆の姿はそこにはない。 

帰りの時間にもいない。その翌日も老婆はいない。 
あの日以来、老婆は来なくなった。 

普通なら喜ぶべきことなんだけど俺は異様に不安だった。 
もしかして老婆は本当に死んでしまったんではないか? 
こんな事考えるほうがおかしいんだけど当時はそう思ってた。 

あれだけしつこく来てたのに急に来なくなるのはおかしい。 
かなりひどいことを言ってしまったし、もしかしたら・・・ 
毎日そんな事を考えていた。 


919: 老婆:2011/06/06(月) 00:01:46.40 ID:da2rBiWM0
老婆が来なくなってから一週間ほど経ったある朝。 
インターフォンの音が聞こえた。朝五時前である。 
嫌な予感がして窓から玄関を見るがだれもいない。 

またすぐインターフォンがなる。窓から玄関を見る・・・ 
老婆だ。あの老婆がいる。生きてたか。 
玄関を開けてみると・・・誰もいない。逃げたか? 

帰宅時。老婆はいない。母に今朝のことを話すと 
母はインターフォンの音が聞こえなかったらしい。 
まぁ寝てたんだからあたりまえだろう。 
一応、翌朝は一緒に起きてくれることになった。 

翌朝。朝御飯を食べているとインターフォンがなった。 
急いで玄関を開けたがだれもいない。 
母がびっくりしてどうしたのと聞いてくる。 
母にはインターフォンの音が聞こえなかったらしい。 


920: 老婆:2011/06/06(月) 00:03:08.04 ID:da2rBiWM0
いやいや絶対鳴った。でも母は鳴ってないという。?? 
どういう事だろう。まさか老婆の幽霊が・・・ 
その日はずっとそのことが頭から離れなかった。 

帰ってきてからもなんだか嫌な感じがして夜寝付けずにいると 
声が聞こえる。老婆の声。あのセリフ。 
はじめは小さかったがだんだんはっきりと聞こえてきた。 

どうしよう。体は動くけど動いたら何かが起こりそうで動けない。 
とにかくじっとして朝を待った。声はいつの間にか聞こえなくなっていた。 
母に話そうか?いや頭がおかしくなったと思われるな。 

その日の夜、またあの声が聞こえた。起き上がり電気をつけようとすると 
部屋の隅になにかいる。ピョコピョコと妙な足取りで近づいてくる。 
まじかよ。布団をかぶり大声で叫んだ。 


924: 老婆:2011/06/06(月) 00:05:08.48 ID:O0dnVqUE0
父と母が飛んできて、何があったのか聞いてくる。 
ありのまま話すがやはり信じてくれない。 
一人ではとても寝れないので父の部屋で一緒に寝ることにした。 

父と一緒でも寝付くことができずにいると、またあの声が聞こえてきた。 
もう勘弁してくれ。布団をかぶり、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・ 
横で寝ている父がこれはもう尋常ではないと悟ったらしい。 

翌日、学校を休み病院へ行くように父に言われた。精神科へ。 
精神科って・・・俺を病気扱いですか。幽霊を見たら病気ですか。 
かなり反抗したけどとにかく行くように言われ、母と一緒に 
近くの総合病院の精神科へ行った。 

行ったところでどうなるものでもない。 
先生に今までのことをすべて話すと、PTSDと診断された。 


925: 老婆:2011/06/06(月) 00:07:12.38 ID:O0dnVqUE0
老婆に対するストレスと老婆に対して言ってしまった言葉、 
それにより老婆が死んでしまったと自分を責める気持ち。 
それらによって幻覚を見聞きしていると言われた。 

幻覚。そんなわけない。あんなにはっきり聞こえた。見えた。 
あれが幻覚のわけがない。だから行ったところで無駄だといったんだ。 
なんだか訳のわからない薬を貰って帰ってきた。 

薬は一応飲んだがやはり老婆の声は聞こえる。 
姿は見せないが声はよく聞こえる。学校は暫く休むことになった。 
昼は母と一緒にテレビを見て、風呂は父と入り、トイレは開けてして、 
寝るときは父と一緒に寝る。情けない高校球児だがどうしようもない。 
一人になると絶対に聞こえる。 


926: 老婆:2011/06/06(月) 00:08:37.83 ID:O0dnVqUE0
そんな日が10日ほど続いたある日、父があの老婆は 
生きていると言ってきた。そんなわけがない。あの老婆は死んでいる。 
そう言えば俺の幻覚が治るとでも思っているのだろう。 

本当に生きている。会ってみるか?と父が言ってきた。 
いやだ。絶対に会いたくない。というか生きてるわけがない。 
車の中で見るだけならどうだ?というのでそれなら別に構わない。 
翌朝、車で老婆の住んでる場所へ向かった。 

老婆の住んでるところはかなり近くのアパートで、 
その近くに車を止め老婆が出てくるのを待った。 
昼頃になりようやく老婆がアパートから出てきた。 

服装は違ったがたしかにあの老婆だった。 
どういうことだ?じゃあの幽霊はなんなんだ? 


927: 老婆:2011/06/06(月) 00:10:34.09 ID:O0dnVqUE0
「な。あの老婆は生きているんだよ。 
おまえが見たり聞いたりしてるのは幽霊じゃないんだよ。 
幻覚なんだよ。おまえがそれを認めないといつまでも 
幻覚を見聞きすることになるんだ。 
きちんと自分と向い合ってみよう。な。」 

それから三日間、同じように老婆を見に行った。 
老婆は生きてる。それは間違いない。 
ということは幽霊は出ない。あれは幻覚・・・なのか。 

病院にもきちんと通うようになり薬もきちんと飲んだ。 
老婆の声は次第に聞こえなくなり、いつしか聞こえなくなった。 
俺が聞いてた声、見た姿は幻覚だった。 


928: 老婆:2011/06/06(月) 00:12:18.56 ID:O0dnVqUE0
まさかあれほどはっきりと聞こえるものとは思わなかった。 
思い出すと当時の自分は明らかにおかしかった。 
でも自分で自分のことをおかしいとは思えないんだよ。 
自分は正しい。まわりがおかしい。 

これくらいのことで、そこまでおかしくなるか?と思う人もいるかも 
しれないけど、神経の細い人は案外簡単におかしくなっちゃう。 
俺はあれ以来、幻覚は見ないし、聞こえない。 

長々と失礼。 


930: 本当にあった怖い名無し:2011/06/06(月) 00:16:33.18 ID:vTgHqC370
>>928 
面白かった。 
幽霊は出ないけど、妙な緊迫感というのが伝わってきて 
色んな意味で怖かったよ。 

お疲れ様。 


931: 本当にあった怖い名無し:2011/06/06(月) 00:17:32.15 ID:Xyj5TaSx0
>>928 
よかったなw 
もうすべて忘れろ 


934: 本当にあった怖い名無し:2011/06/06(月) 00:34:43.46 ID:pybDtLa90
>>928 
乙。 
面白かったよ。 

もしかしたら、ほとんどの幽霊はそんなものかも 
しれないな。